· 

所長の日常⑩

こんにちは。和歌山市内で介護技術のセミナー 触れるセミナー 動きのセミナー シンプルラーニング 総合身体介助講座 を行っている 当研究所所長の北口です。(出張講師も受付中です)

 

昨日のことだが、ふと知り合いからメッセンジャーが入る。なんでも、先月から働き始めた事業所を解雇されたとのこと。

 

 

よくわからんが、なかなかアグレッシブな事業所だなぁと感じる。同じ人を雇用する立場として、ここ最近では、労使の関係性がいささか無茶なものになってきている。と感じる。『使』の方ではなく『労』の方が激強なのである。

 

 

そんな中の解雇(当人は、何もしていないのに急に解雇といわれたのよ。と話す。)

 

 

もともと人のことには興味のない当研究所所長であるが、解雇とは…ちょっと気になります。

何をしたら解雇にできるのか。

 

 

気にはなりながらも『何があったのかはわからないけど、変わった事業所ですね』といった内容のメッセージで返答する。

 

 

 

その人との話の中で

『解雇された事業者からは、解雇なのに退職願を書くようにと言われた』

『でも紹介会社Aからは、退職願は書かないようにしてください』と言われているとのこと。

『今回紹介会社Aに紹介してもらったんよ。

 

 

なるほど納得。紹介会社が入っていたのね。それなら納得。

 

 

何が納得なのか。

 

 

解雇ということと 退職願ということと 書かないようにということ である。

 

 

まずは早期に解雇をする理由が有るのかもしれません。それを踏まえたうえでのことではあるが…

 

 

 

ここ数年で、人の雇い方も変化があり、人材紹介会社が台頭し始め、様々な事業所に向けて熱心な営業をしてくる。FAXも定期的に流れてくる。当然私の携帯にも直接連絡が来る。

 

 

 

 

まず、この紹介会社から労働者を紹介してもらって雇用契約に結び付いた場合、事業者はこの紹介会社に対して相場では、想定年収の3割を支払うこととなります。なので、常勤の労働者を雇用し、その人の想定年収が300万だった場合はそれの3割(2~2.5割という提示のところもある)しかしながら、近年では3割という提示のところが多くなっています。

 

 

SNSやウェブ広告で見たことありませんか?

『妹の働く施設がズルい』とか

『休みは週に2日残業夜勤なしで、月に〇〇万円』とか 和歌山市にそんな会社ある???

 

無いです。ほぼ皆無。

 

 

そんな広告、誰しも1回は見たことあります。そこに登録すると、担当者から連絡が来る。そして、働き先と交渉をしてくれて、そこの施設の待遇面を確認してくれて、面接の予定を取り持ってくれるという何とも優しい紹介会社様なのです。

 

 

しかしながら、問題は、求職者は手数料のことを全く知らないということである。

 

 

私も施設長として、紹介業者様とやり取りすることはあるが、助かるときもあれば、話にならない時もある。

 

 

紹介会社が労働者のことをとくに調査もしていない。私が『この人と会ったことあるのですか?』と聞いた時も

『あったことはないのですが電話の印象では』もしくは『あったことはないのですがZOOMでの面会の印象ですが』

 

ま 調査のしようもないのですが。

 

 

困ったことに、求職者がどんな人か、良く知らないのである。これまでの経歴を履歴書のようなものを把握している程度。

事業者は、その状態で想定年収の3割を支払うのである。

一言で言って、大冒険である。

最低限の質の担保はなく、そこは質ではなくその労働者が早期に退職した時の返金規定1か月以内~半年程度まで返金額は徐々に減っていくが。利用する側からすると、ダメだったらお金返しますから的に感じてしまう。

 

 

求職者側からすると楽に就職先と交渉してくれて紹介してくれる。とっても楽ちんではある。しかしそのバックではとっても楽ちんに就職先を見つけた求職者の印象とは裏腹に、約90万程度の手数料が発生するのである。

 

 

求職者が紹介会社に就職先を紹介してもらうと、その求職者に対する雇う側のハードルは激上がりなのである。その期待は当然その求職者へと向くことになる。

 

 

 

ということもあるので、求職者様はその紹介手数料が発生するということを理解しておくことが重要である。いわば、人に紹介してもらう時の求職者自身の価値である。

 

 

さて、ここからが本題

 

 

今回、解雇となった方ですが、本人曰く、何もしていないのに解雇になった。(本当に何もしていないのか、何かあったのかは不明であるが)入職して1か月超くらいでの解雇このタイミングでは返金規定で半額程度返金があるはずなのである。

 

 

しかも、この労働者、事業者から、退職願を書くようにと言われている。退職願を書くということは、解雇が解雇じゃなくなるということ。そう。解雇だと返金してもらえないのである。

 

 

『でも紹介会社Aからは、退職願は書かないようにしてください』と言われているということは、紹介会社Aは解雇を解雇じゃないような扱いをされてしまうと、事業者に返金しなくてはいけなくなるということか。

 

 

なるほど、返金してもらいたい側と返金したくない側。両者のせめぎあいか。

 

 

なぜこんな不毛なことが起こるのか。(起こっているのか起こっていないのか、確かめてはいませんが…仮に起こっていないとしてもこういうことが起こる可能性が十分にあるということです)そして振り回されるのは求職者ということになります。

 

 

求職者からすれば、話をよく聞いてくれて、ワンマンでもなくて、嫌なスタッフさんがいなくて、スタッフ間の派閥がなくて、働きやすくて楽しくて、給料のいい働き口を求めているのであろうが、だったら聞いて交渉すればいいものを。

 

 

それを見え透いたウェブ広告でなんだかわからない紹介業者に釣られて紹介を受けるのである。

 

 

紹介業者が悪いとは言っていません。ただ求職者には自分の”どうしたい”がない限りは、自分の理想の職場にたどり着くことはできません。入職してからも自分の”どうしたい”がない場合は、理想の職場にすることも不可能なのです。周りが右往左往して自分の居心地が良い環境をセッティングしてくれるわけではないのです。

 

 

 

そしてこれだけは断言します

『紹介会社は紹介先の会社内の人間関係ことは何も知りません。』

 

 

振り回されるのは求職者ということですが、振り回される側にも問題があるということです。

 

 

私も人材不足の時には紹介会社に依頼して紹介をしてもらうこともあります。事実、前年も含めて、紹介会社様から紹介いただきました。とっても人柄のいい労働者様を紹介していただけたので感謝しています。

 

 

その感謝している紹介会社様であっても、当社のことはほぼ知りません。

 

どんな人が働いていて、どんな職場で、紹介者に適合しやすいかそうでないか。そんなのわかるわけないですよね。

 

利用する側は紹介会社のシステムを利用して早期退職の返金を狙ったり、紹介会社側は下手な鉄砲も数うちゃ当たるで初めての紹介先を当たりまくる。

 

 

整理すると紹介会社様は、求職者のことも、紹介先の会社のこともよく知らないのです。

 

 

利用する側も、利用される側も適当すぎませんか。そんな適当なことをするから、需要と供給のあり方が崩れてしまって、ピントずれずれになるのです。

 

 

結果その知り合いは次の日には、解雇を撤回され、配置転換となったそうな。解雇って言っちゃったのに(笑)

 

解雇と言った言ってないで紹介会社と事業者が話しているそうな。なんでそうなる。

 

 

その後実にやっぱり解雇になりましたと…なんなんだ(笑)僕はどちらでもいいんですが

 

 

まだまだこれから人材が不足に拍車がかかります。インスタで楽しい職場ですよーアピールする事業者も増えてきましたね。うちも頑張るかな。